語源の広場

『英語耳』松澤喜好、『日本語と英語をつなぐ』すずきひろし、『Gogengo!』角掛拓未が送る、英語の語源をさまざまな切り口でお伝えするコンテンツです。

語源の窓 第18話

PersonとPeople


 昔、「人の数」を言うのに、one person, two persons, three personsと言ったら、ネイティブ・スピーカーに「違う、one person, two people, three peopleだ」と直された
ことがあります。単数と複数の関係がずっと気になっていたので調べてみました。

 ●personは辞書をひくと「個性のある個人」という意味です。
類語のpersonalityが「(ひとりひとり別々の)個性」なので、「特徴のある人」のイメージが強いようです。

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personの語源はラテン語のpersona (actor’s mask、ギリシャやローマの劇で使われていた仮面)です。ギリシャ語にさかのぼっても「仮面」の意味でした。英語のpersonaは「登場人物」ですね。personalityの類語character(性格)はその人が持つ道徳的な面での性格です。characterの語源はギリシャ語で「刻まれた印、記号」です。刻まれた印が深い人ほど良い人になります。例えば a man of character(人格者)ですね。

 

 ●peopleは「(複数扱い)人々、住民、国民」の意味です。
Hundreds of peopleのように、人が集まっていて、個人個人の特徴は気にしない使い方をします。マクミラン英英辞典のpeopleの定義はズバリ「the plural of person(personの複数形)」です。類語のpopular(人気のある、大衆向けの)はたくさんの人に好まれるというイメージがあります。

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 peopleの語源はラテン語のpopulus(人々、民衆)です。
英語のpopularにスペルが近いですね。 

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数といえば、時間もなぜ「分」がminuteなのでしょうか。

minuteには「マイニュート」と発音する「微小の」という意味があります。


「秒」がsecondですが、なぜ「第2の」という意味のsecondが「秒」という意味になるのか疑問でした。

 

 ラテン語の「分」はpars minuta prima(1回目に小さく分割された部分)(具体的には1/60))pars(部分,)
minuta(細分化された,)はminuere(小さくする)の過去分詞形(語尾の-aは女性形)

 

prima(最初の)はprimus(最初の)の女性形
「秒」はpars minuta secunda (2番目に分割された部分)(具体的には「分」の1/60)

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 secunda(2番目の)はsecundus(2番目の、次の)の女性形

実はラテン語の「分」はpars minuta prima「最初に(1回目に)1時間を60に分けた一つの部分。」の「minuta」を「分」に使ったのです。
2回目に更に60分割したものが秒ですがsecundaを「秒」の意味に使ったのです。

1時間は60分です。1分は60秒です。1時間は3600秒です。
松澤記

 

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