ギリシャ語が語源の単語
ずいぶん昔のことでしたが、2004年はアテネオリンピックの年でした。TVの放送で、多くの方がギリシャ語のアルファベットを目にしたことと思います。
最近の数年ではギリシャの経済危機のニュースでギリシャ語を目にしました。
実は英語のalphabetはギリシャ語のα(アルファー)とβ(ベータ)から来ています。ギリシャを 征服した後のローマ時代でも、ギリシャはあこがれの文化の国でした。そのためローマの知識人は ギリシャ語の読み書きができました。
ローマ時代の上流家庭では子供のためにギリシャ人の家庭教師を招いていたそうです。
下のギリシャ語アルファベットは「アルファー、ベータ、ガンマ、デルタ、エプシロン・・・」と続きます。
ギリシャ語を語源とする単語には、例えばaristocrat(貴族)、technology(科学技術)、 logic(論理)などたくさんあります。
下に-cratの付く、ギリシャ語を語源とした単語を載せています。ここで注意してほしいのは 「接頭辞も語幹も、ともにギリシャ語である」ということです。「接頭辞がラテン語で語幹が ギリシャ語」のように混在した単語はありません。
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-cratはギリシャ語が語源の「~の一員、支持者、統治者」の意味です。-cracyは「~階級社会、 (~による)統治」という意味です。この表の単語の -cratの部分を-cracyに置き換えると、 「~政治、~主義」という単語ができます。
aristocrat(貴族)はaristo-(最上の、best)+ -crat(~の一員)。つまり上位階級にいて 国の統治をしている人のことです。
democrat(民主主義者)はdemo-(民衆、大衆)+-crat(支持者) に分解できます。民主主義はdemocracyです。
autocratは「独裁者」ですが、なぜauto-(自己の)+-crat(~の一員、支持者)=「独裁者」 なのでしょうか。auto-を詳説すると「自分で、他人の影響を受けないで」という意味なのです。 autocratは「他人の影響を受けないで、自分[だけ]で統治する人」となります。
ちなみにhypocrite(偽善者)の-criteはaristocratの-cratと違います。 -crite系は英語のactorの -orのように、「~する人」の意味です。ギリシャ語hypokrisis は「舞台の見せかけの役」のことです。hypocriteはこの「見せかけの役を演じる役者」の ことです。心の底からの行いではないので「偽善者」の意味になったのでしょう。
語源を調べるとラテン語よりも昔にさかのぼってギリシャ語に語源がある単語が沢山あります。これらの単語はラテン語でも綴りを変えて使われているので、私は個人的にはラテン語までさかのぼれば十分だと考えています。厳密にはギリシャ語なのですがね。
松澤記