語源の広場

『英語耳』松澤喜好、『日本語と英語をつなぐ』すずきひろし、『Gogengo!』角掛拓未が送る、英語の語源をさまざまな切り口でお伝えするコンテンツです。

語源の窓 第17話

語源の落とし穴?

 

 アメリカの学生は英語の語彙を増やすために語源の知識を活用しています。インテリの多い高校や大学ではラテン語を教えています。語彙を増やすためのアメリカの実用書には必ずといっていいほど語源の活用が出てきます。

 私の手元にちょっと古い語彙の参考書WORD SMART(注1)があります。これにも語源の活用法が述べてあるのですが、同時に、語源に頼りすぎてもいけないとも警告しています。

その例としてverdantとpediatricianを挙げています。
 verdantはverdict、verifyとの連想から「『真実』と関連した意味かな」と思われるかもしれませんね。
verdict(評決)はverus(真実の)+dict(言う)から来ていて「真実を言うこと」です。verify(正しいかを確かめる)もverusから来ています。

f:id:gogen_wisdom:20170329113759j:plain

 

verの連想から、verdant countrysideは「本当のいなか」と推測
されるかもしれませんが、実は「緑豊かな田舎」という意味です。
フランス語のvert(緑)から来ているのです。

f:id:gogen_wisdom:20170331121403j:plain

 

 pediatricianはpedicure(ペディキュア、足のたこ・まめの治療)
のpedi-(足)から「足のお医者さん」と連想しやすいですね。
実は、「小児科医」です。ped-(子ども)が語源です。

f:id:gogen_wisdom:20170329114548j:plain

 

pedagogue(教育者)もped(子ども)+agogue(導く)に分解できます。
pedagogueはがみがみと厳しいしつけをする先生のイメージがあります。
ローマ時代は「子どもを学校に送り迎えする奴隷の召し使い。」の
ことでした。

 このような間違いをしないようにするためには、文章全体の流れからおかしいと感じたら手間でも辞書を引きましょう。案外おかしいと感じるものです。そういう時には語源の説明がある辞書を活用してください。

 WORD SMARTにはmnemonics(記憶を助けるもの)として面白い方法があるので紹介します。それは、覚えにくいスペルの単語は物語にして覚えるというものです。例えばarithmetic(算数)のスペルは「A Rat In The House Might Eat Tom’s Ice Cream.
(各単語の頭文字を合わせるとarithmeticとなる)」という文を作って覚える(なんだかこの方法のほうが大変そうですね)。

 

mnemonicもついでに覚えましょう。
「記憶」という意味をもつ語源mne-を使った3つの単語を下に挙げていますので、参照してください。
●mnemonic(記憶を助けるもの)(mは発音しない) 語源はギリシャ語mneme(記憶)です。


●amnesty(恩赦):a(=not)+mnesty(記憶)記憶を消すこと、つまり「政府が(罪を)忘れてあげる」ことです。


●amnesia(記憶喪失):a(=not)+mnesia(記憶)記憶を無くすことそのものです。

注1 WORD SMART

amzn.to


松澤記

 

あわせてどうぞ

Gogengo!