語源の広場

『英語耳』松澤喜好、『日本語と英語をつなぐ』すずきひろし、『Gogengo!』角掛拓未が送る、英語の語源をさまざまな切り口でお伝えするコンテンツです。

語源の窓 第11話

語源による単語のイメージの作り方


「語源で英単語のイメージをつかむには初心者には慣れ・訓練が必要なようですが、何かコツがあるのですか?」という質問がよくあります。以下の3単語でイメージをつかむ練習をしましょう。

 

divert(向きを変える、気晴らしをする)を旧SPACEALCの語源辞典では以下のように書いてありました。

『divert そらす、気を紛らす(横をむくから)
[語源] di-=dis-(離れて)+L.vertere(変える、向く)
これが語源!の欄にはvert-, vort-, vers-, vors-
L.vertere = to turn(回る、変える、向く)』とありました。

 

Merriam-Websterの記述です。

Middle English, from Medieval French & Latin; Medieval French divertir, from Latin divertere to turn in opposite directions, from dis- + vertere to turn

つまり、「反対方向を向く」です。

 

DIVERSIONは名詞形です。

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 語源は動作をイメージすることがコツです。「身体の動作」をまずイメージします。それでだめなら「心」そして「物」の動作を考えます。


 語源vertereの英語訳が=to turnとありますね、まず身体の向きをぐるっと変えるイメージで始めましょう。接頭辞 di- の意味は =dis-とあるので辞書でdis- をひいてください。接頭辞は動作の方向を表します。dis- は「動詞につけて反対の動作を表す」とあります。
「向かない」とイメージすると無理があるのでdis- 「分離」の意味が使われているのかもしれないな、と見当をつけるには慣れが必要かもしれませんね。身体に当てはめると正面ではなく横または斜めを向くイメージです。

 

 ここまで見当をつけたら、辞書の意味をすべて当てはめてみます。研究社新英和中辞典では「①転換する・迂回する②(資金など)転用する③(注意を)そらす④人の気を晴らさせる」とあります。

①②は物の方向をまっすぐではなくて横に向けること③④は人の気持ちの方向を横または反対方向に向けることとイメージできるでしょうか?

 身体の向きでイメージ作りを始めますが、物や心の向きをdi- (=dis-)別の方に向けるイメージだったのでした。ここまできたら divert は物や心の向きを変える動作をイメージして脳の vert の引き出しにしまっておきましょう。


 ニュー・ヴィクトリー・アンカーにはdivertは①(注意など)をそらす②人を楽しませる、とだけあります。心の向きをそらす意味を代表してとらえていますね。まだ納得できなければ英英辞典 Merriam Websterの語源の説明には to turn in opposite directions (反対方向を向く)とあり、di-+vertのイメージが明快でしょ。

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 同様にconversationは旧SPACEALCの「語源辞典」では交わり、会話、談話、(行き来する) → 話し合う [語源] con-(共に)+L.vertere(向く)+tion = 共に向き合う。

 

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universityは大学(いくつかの学部が一つにまとまっている)
[語源] uni-(一つに)+L.versus(回る、向く)=教授と学生の共同体とあります。

ご自分の辞書をひいて、このイメージでそこに書いてあるそれぞれの訳語に当てはめてください。イメージを身につける練習のコツがつかめれば幸いです。

 

宿題: admit, permit, submitの語源は何でしょうか?
答えは次の第12話にあります。
松澤記

 

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