語源の広場

『英語耳』松澤喜好、『日本語と英語をつなぐ』すずきひろし、『Gogengo!』角掛拓未が送る、英語の語源をさまざまな切り口でお伝えするコンテンツです。

264 photo, phant「光、空想」Gk.L. phantasia

(37語) 2000年前の時代の夜は、電気が無いので真っ暗だったことをまず想像してください。

  fantasy「空想、ファンタジー」とphantom「まぼろし、幽霊」の語源は同じギリシャ語のGk.phantasia「空想、空想力」です。ラテン語にも L.phantasiaと同じ綴りで入っています。phanとfanは音が同じと考えて良いので、語源も一緒だと考えられます。

 

 Fantasiaはディズニー1940の映画『ファンタジア』のタイトルでお馴染みですよね。80年も前の映画ですが、ミッキーマウスと魔法使いの弟子の音楽と映像が見事に合わさっています。日本では、第2次大戦後の10年目(1955)に公開されました。https://www.youtube.com/watch?v=LpKA9n-75tQ 

「幽霊」の意味は最初は無かったのですが、あとから使われるようになりました。真っ暗な夜に、もやもやと見えるように空想していたものが本物に見えたのでしょう。

 

 phosphorus「(化)リン(元素記号 P)」のぼやッとした光も、真っ暗闇では明るく見えたのでしょうね。phos/ photは phantの短縮形だとすると、1930年代に使われ始めたphotograph「写真」の語源も同類と考えられます。

 

出現頻度: 高い

日本の中学生が学ぶ英単語が多いです。

単語 接頭辞 意味 語源解説
 photograph    写真 ◇photo-=light 光 Gk.phot / phos =ligjt 光  



出現頻度: 中くらい

日本の高校生が学ぶ英単語が多いです。

単語 接頭辞 意味 語源解説
 emphasis    強調、重要さ、重み ◇Gk.L.emphasis(=appearance)「現れる、見える」の意味から、1570年ころから「強調する」の意味に変わっていった  
 emphasize    強調する、力説する ◇em-(=in強め) = はっきり表す  
 fantasy    空想、幻想、幻想曲  
 fancy    空想、気まぐれ、【動】空想する、装飾をこらした ◇fantasyの短縮語  
 fantastic    空想的な、すばらしい、風変わりな  
 phase  

 相、フェーズ、面、現われ(目に見えるものの様相) ◇Gk.phasis 月の相(満月、三日月など)から、相の意味となる。

 
 phenomenon    現象、事象、不思議な物(現われ出るもの)  
 photographic    写真の  
 photographer    写真家、フォトグラファー  



出現頻度: やや低い

日本の学生が大学受験を目指す頃に学ぶ英単語です。

単語 接頭辞 意味 語源解説
 emphatic  em強調  語気の強い、強調された、よく目立つ  
 emphatically  em強調  強調して、断固として  
 fanciful    空想にふける、気まぐれな  fan=phan
 fantasize    夢想する、空想にふける  fan=phan
 phantom    まぼろし、幻影、妄想、幽霊、ファンタム  
 phenomenal    自然現象の、外観上の、驚くべき  
 photon    フォトン、光量子 ◇photo-光 +-on=unit 単位。1926年ごろから使われた新しい単語。参照:phonon(=音子[音のエネルギー量子])  
 photocopy    写真複写(コピー)、【動】複写する、コピーする(Xeroxの初期のころは、copyよりもphotocopyと言っていた。)  
 phosphorus    (化)リン(元素記号 P) ◇Gk.Phosphoros(ギリシャ神話)  「暁の明星」phos=light 光、明かり+phoros=bearer 運ぶ人。ラテン語もL.Phosphorus 「暁の明星」。(ローマ時代の神話 Luciferと同等)  



出現頻度: とても低い

英米の高校生レベルの語彙です。このレベルになると語彙は 15,000 語を超えます。見慣れない複雑な英単語が増えますが、よく見てみると、意外と語源のイメージを応用できます。

単語 接頭辞 意味 語源解説
 aphotic  a=not  光の無い、(深海などの)光の届かない  
 diaphanous    薄くてほぼ透明な、はっきりしない、おぼろげな ◇dia+phan  
 Epiphany / epiphany    (キリスト教)公現祭(1月6日) / (神の)出現、突然のひらめき、直感  
 fantasia    (楽)幻想曲、ファンタジア(数々の曲を織り込んだ楽曲)、Fantasia ディズニー1940の映画『ファンタジア』 ◇Gk.L.phantasia「空想、空想力」  
 fantastically    空想的に、すばらしく  
 phantasy   空想 =fantasy  
 phantasm    まぼろし、幻影、幽霊(目に浮かぶもの)  
 phenomenally    現象的に、驚くほど  
 phenology    生物季節学(気候と生物との関係を研究)  
 photogenic    写真写りのいい ◇genic(=born 生まれつき)  
 photosensitive    感光性の、光電性の  
 phantasmagoria    走馬灯の光景、様々に変化する光景  
 photosynthesis    (生化)光合成  
 sycophant   おべっか使い、ごまをする人、密告者 ◇Gk.L.sycophanta 「密告者」 sycoいちじく+phanta現す →指で下品な表現をする意味から?  
 sycophantic    【形】へつらう、中傷する  
 theophany    神の顕現(神が人の前に姿を現すこと) ◇theo 神 + phany 現す  
 tiffany  

 薄い絹織物(Epiphanyの日に着た) ◇Tiffany&Co. ティファニーは商標

 
 tryptophan    トリプトファン(動物の生存に必要なアミノ酸) ◇trypticトリプシンの + phane 現れる