語源の広場

『英語耳』松澤喜好、『日本語と英語をつなぐ』すずきひろし、『Gogengo!』角掛拓未が送る、英語の語源をさまざまな切り口でお伝えするコンテンツです。

133 gno, gni 「知る、認識する」 L.gnoscere

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(51語) ラテン語L.gnoscere(古形) / L.noscere「知る、認識する」が語源です。

 たとえばrecognize「認める」はre「再び」 co「共に」 gnize「知る」と分解できます。gnizeのところが語根です。ラテン語ではすでにL.cognoscere「知る、認識する」があったので、cogniの部分を「知る、認識する」と覚えるとよいです。すると、cognitive 「認識の、認知の」という単語にも親しみがわきますね。

 Know「知る、知っている」もgnoとknoの部分が近いので、ここで取り上げます。厳密にはknowは古英語 cnawanが語源ですが、語源が同じだと錯覚するぐらい近い語に感じられます。

 「知る、知っている」は重要な単語です。英語はknowですが、仏語と伊語は以下のようにcon(共に)が付いて日常語として使われています。英語のcognitiveは比較的にマイナーな単語です。英語にはknowがあるからです。
英語     know
ラテン語   (g)noscere / cognoscere
仏語     connaitre「知る、認識する」
伊語     conoscere「知る、認識する」

gnoのgは単語によって残っているものと落ちているものがあります。



出現頻度: とても高い

日本の中学生や高校一、二年生が学ぶ英単語が多いです。

単語 接頭辞 意味 語源解説
 ignore  i=not  無視する、認識しない・知らないふりをする 仏語 ignorer
伊語 ignorare
 recognize  re 再び  認識する、再び知る L.recognoscere 点検する、認める 仏語 reconnaitre
伊語 riconoscere
 know    知る    canは同語源  独語.kennen(=できる、知る)  古英語 cnawan
 knowledge    知識、まとまった情報、学識  古英語 cnawan



出現頻度: 高い

日本の高校二、三年生が学ぶ英単語が多いです。

単語 接頭辞 意味 語源解説
 recognition  re 再び  認識  L.recognoscere 認める
 acknowledge  ac に  認める  
 unknown    知られていない、無名の  
 know-how    ノウハウ、専門的知識  



出現頻度: ふつう

日本の学生が大学受験を目指す頃に学ぶ英単語です。

単語 接頭辞 意味 語源解説
 acquaintance  ac へ  知識、知り合い  
 diagnose  dia 横切  診断する  Gk.diagnoskein(識別する)
 diagnosis  dia 横切  (医)診断  
 ignorance  i=not  無知  
 noble    高貴な、(知られたの意)、知名の L.(g)nobilisよく知られた



出現頻度: 低い

日本の大学生や社会人が必要な時期に習う英単語です。

単語 接頭辞 意味 語源解説
 acquaint  ac へ  知らせる、知り合う  L.cognitus(知られた)が古仏語を経て変化
 cognitive  co 共に  認識の、認識力のある  L.cognoscere知る
 connoisseur  co 共に  (美術品の)鑑定家  仏語connaisseur 通つう、玄人くろうと
 diagnostic  dia 横切  (複数形で)診断  L.diagnosis 診断
 ignorant  i=not  無知な、無学な  
 nobility    高貴さ  L.(g)nobilis よく知られた
 prognosis  pro 前に  予知、予測、(病気の)予後(治療後の経過予測)   
 quaint    (古風で)面白い、趣のある、奇妙な、奇異な  L.cognitus(知られた)が古仏語を経て変化
 recognizable  re 再び  認識できる  
 reconnaissance  re 再び  下検分、(軍)偵察   
仏語 reconnaissance 感謝・偵察
 ←仏語
 knowledgeable      



出現頻度: とても低い

英米の高校生レベルの語彙です。このレベルになると語彙は 15,000 語を超えます。見慣れない複雑な英単語が増えますが、よく見てみると、意外と語源のイメージを応用できます。

単語 接頭辞 意味 語源解説
 agnostic  a=not  (哲学)不可知論者  
 cognition  co 共に  認識作用(心理学用語)  
 cognizable  co 共に  認識し得る  
 cognizance  co 共に  認識、知覚、管轄権  
 cognizant  co 共に  認識している、知っている  
 cognomen  co 共に  家名、性、名字  L.nomen名前、-g-はL.gnoscereの影響
 cognoscente  co 共に  (芸術の)目利き、つう(通)  L.cognoscere知る
 ignoble  i=not  下品な、知られない  
 incognito  in=not  お忍び、匿名の  
 nobly    りっぱに、高潔に  L.(g)nobilis よく知られた
 precognition  pre 前に  予知、事前認知  
 prognostic  pro 前に  前兆となる、(医)予後の、予後の兆候  
 prognosticate  pro 前に  (前兆で)予知する、予測する  
 prognostication  pro 前に  前兆、予知  
 quaintly    巧みに  
 quaintness    趣、奇妙さ、優雅さ  
 recognizance  re 再び  誓約、(誓約履行の)保証金  
 reconnoiter  re 再び  '観察する、(軍)偵察する  
 knowable    理解できる、知りえる  
 know-it-all    物知り(顔をする人)(軽べつ的に)  know-allとも綴る  
 knowing    知ったかぶりの、知ること、知識  
 knowingly    知ったかぶりに、わざと  
 knowledgeably    深い知識で、精通していて  
 known    有名な、良く知られている  
 unknowable    (人間が)理解できない  
 unknowing    知らない、故意ではない  
 unknowingly    気付かないで  



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