語源の広場

『英語耳』松澤喜好、『日本語と英語をつなぐ』すずきひろし、『Gogengo!』角掛拓未が送る、英語の語源をさまざまな切り口でお伝えするコンテンツです。

語源の窓 第5話

続2,500年前をイメージする


2500年前のお話を続けましょう。
 dictionary(辞書)の元になったラテン語はdicere(言う、話す)でした。「書く」ことから来ているとイメージすると思いますが、書いた単語を集めたのではなかったのです。言い回しを集めたものです。だからdictation(口述)は先生が話すことを書き取るのですよ。

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 education(教育)のラテン語はducere(導き出す、引き出す)です。教育とは知識を押し付けるのではなく才能を導き出すことだったのです。またラテン語にはducare(子供を育てる)という動詞があります。どちらも1人称単数現在形はducoです。従ってeducationには「子供の才能を導き育てる」という想いがあります。

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 ラテン語ducere(導く)は現在もduct(ダクト)で水や空気を導いています。ローマ遺跡で石を積んで作った巨大な橋aquaeductus(ラテン語で水路)を見たことがありますか。あれは川を人が渡るためではなく、水(aquae)を渡す(duct)ためにつくった壮大な水道路です。

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missile(ミサイル)は2500年前にはありませんでしたが語源のラテン語は

mittere(送る、行かせる)です。またmissionis(送り出すことの)という
ラテン語が現在のミッション(mission)ですね。ラテン語にもmissilis
(投げ出されたもの)という単語がありました。イメージがぴったり
すぎて驚きです。

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現在のコンビニ(convenience store)はもちろん2500年前にはありません

でした。convenience(便利)は2500年前のラテン語では単にconvenire
(一緒に集まる)という意味でした。con(一緒に)+venire(来る)。
人や物が集まって来ているのでなにかと便利なことがそのイメージです。
現在のコンビニも人や物が集まってくるところは同じですね。

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以下の3つの英単語「adventure」「convenience」「invention」は、ラ
テン語venire「来る」の派生語です(残念ながらTOP10には入っていませんが)。
adventure「冒険」はad(前方に)+venire(来る)、危険が私に向かって来ること。
convenience「コンビニ、便利」は、con(一緒に)+venire(来る)。
invention「発明」はin(・・・の上に)+来る、つまり偶然に新しい物の上に来ることです。第7話では、L.venireから派生した英単語と仏単語を44個リストにしました。

gogen-wisdom.hatenablog.com

 

mini question:

次の3つの単語に共通する語源は何でしょうか?
offer、suffer、transfer

こたえは、次回の第6話にあります。
松澤

 

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