接頭辞も2500年前にあった
今回は英語で重要な「接頭辞」を11個選びました。英語の接頭辞+語根という構造は2500年前のラテン語ですでに完成していました。このこと自体が驚きですが、2500年前の「接頭辞」が現在も英語に同じ意味で使われていることが更なる驚きです。
このページの最後に2500年前のラテン語の接頭辞をラテン語mittere(送る)を例に17のラテン語単語で表しています。
接頭辞については、語源の広場>黄金の接頭辞のところで詳しく書いていますので、そちらもご覧ください。
前回の第5話の課題に共通する語源はferre(運ぶ)というラテン語です。
offerはof-(人の)前に+fer(どうぞと)運ぶ。
sufferはsuf-下から(重いもの、つらいこと)を支えて運ぶ様子。
transferはtrans-横切ってfer-運ぶ、です。
以下にラテン語ferreと組み合わせて16個の接頭辞を紹介します。黄金の接頭辞(11個)よりも数は多くなっています。黄金の接頭辞はとても用使われる接頭辞を厳選しています。
この16個の接頭辞のうちで、黄金の接頭辞11個に含まれないモノは CIRCUM, INTER, SUPER, TRANS,。黄金の接頭辞ではPREとPROを一つ、否定のIN, UN, DIS, DEをひとくくりにしたので、11個となっています。
1) AD-/AF-(・・・の方向に) afferent(医:神経が中枢に向かう)、
2) CIRCUM-(・・・のまわり) circumference(円周)、
3) COM-/CON-(いっしょに) conference(会議)、
4) DE-/DI-(から離れて) defer(譲る)
5) DIS-(分離、反対) differ(相違する)
6) E-/EX-(外へ) efferent(医:遠心性神経の)
7) IN-(の中へ、の中に) infer(推論する)、
8) INTER=(の間に) interfere(干渉する)、
9) OB-/OF-(の前に) offer(申し出る)
10) PER-(完全に)、 (特に派生語は見当たらず)
11) PRE-(あらかじめ) prefer(の方を好む)、
12) PRO-(前方へ、賛成) proffer(提供する)、
13) RE-(再び、戻って) refer(参照する)、
14) SUB-/SUF-(下の下から) suffer(苦しむ)、
15) SUPER-(上方に)、 (特に派生語は見当たらず)
16) TRANS-(横切って) transfer(輸送する)
接頭辞とferreの組み合わせにある医学用語afferent, efferentは近代になって取り入れたものです。またPER-, SUPER-にはferreと組み合わせた単語が見当たりませんね。
理論的な組み合わせは 掛け算になるので16(接頭辞)x600(語根)=9600個の単語(動詞)ができることになります。さらに動詞からは名詞、形容詞、副詞が派生する可能性があるので 9600x4=38400語ができます。(理論上はね)。
実際にはひとつの語根に対して16の接頭辞全部が使われることはないので、歯抜けになっています。それぞれの動詞ににふさわしい接頭辞が組み合わされて単語が作られているのですね。
以下の①から⑰までがはラテン語です。『単語耳 Lv.3』P225参照。
ラテン語にはお馴染みがなくてもチラッと見てやってください。①admitto/-/-/admissum の表記は最初のadmittoがラテン語動詞の現在形の第一人称形、admissumが過去完了に相当する形です。ラテン語の活用に関しては「語源の窓」第8話をご覧ください。
この17個は、L.mittereに接頭辞を付けた単語です。イタリア語、スペイン語、フランス語、ポルトガル語などにほぼそのままで使われています。英語以外の言葉の中にこれらが見つかると、意味が分かります。なので英語以外の言語にも興味を持っていただけると嬉しいです。
以下は本の中の解説です。mitを語根に持つ単語を覚えやすいように「架空の城壁の町A」の小話にしたものです。