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語源の広場

『英語耳』松澤喜好、『日本語と英語をつなぐ』すずきひろし、『Gogengo!』角掛拓未が送る、英語の語源をさまざまな切り口でお伝えするコンテンツです。

語源の窓 第2話

600個の語源からなんと10,000個の英単語


 アルファベットを使う国の人々は漢字がとても複雑に思えます。
そんな英米人にも漢字の構造を説明するとものすごく興味を示します。
もしも、外国人との英会話で話題が無くなったら、ペンと紙(Appleではだめです)を用意してたとえば以下のように木偏(きへん)を教えてみてください。

 「木はtreeの意味です。」と言いながら「木」を書きます。
「では木を2つ並べると何?」と言いながら「林」を書きます。

「?」

「これは木がいくつか生えているbush(林)です。」

「なるほど、そうなんだ!」

「では木3つは?」と言いながら「森」を書きます。

「?」

「木が沢山あるのは森、forestですよね。」と説明すると、

「うーん合理的」とものすごく感心して興味を示してくれます。

この話題が受ける可能性はとても高いので試してみてください。

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 漢字は245の部首から約10,000の漢字が出来ています。(注1)

平均すると一つの部首から40の漢字ができていることになります。
サンズイや木編、手偏などでできている漢字は平均の40漢字をはるかに超えています。

 

 外国人が一生懸命漢字を覚えたとしましょう。漢字1,000個を覚えるためには大変な努力が必要です。例えばランダムに1,000個の漢字を覚えた外国人に、後から「へん、つくり、かんむり」のことを教えたとします。「木編は木に関係する単語、サンズイは水に関係する単語、手偏は手に関係する単語などなどです。」

へん、つくり、かんむりのことを何で最初に教えてくれなかったの?」と言ってその外国人はとても怒るかもしれません。「もっと効率よく学習できたのに」と言って悔しがるかもしれません。学習していく途中で「へん、つくり、かんむり」の存在に気付いてはいくと思われますが、最初か適当な時期に教えてもらうと学習の効率があがります。

 

 スペースアルクに僕が15年間(無償で)提供していたページに「語源辞典」がありました。「語源辞典」には約10,000語を登録してありました。単語を入力すると、同じ語源の単語がズラーっと出てきます。その語源は約600語ですので、600の語源から10,000語が派生した様子を見ることが出来ました。600語は語根です。接頭辞・接尾辞は600語に含んでいません。語源というと難しいと感じられますが、漢字の偏のようなものと考えてください。この「語源辞典」は2015年ごろのリニューアルの時に削除されました。何らかの形でこの「語源の広場」に復活させたいと考えています。【語源ランキングTOP10】のページは「語源辞典」の形を変えたものです。

 

 僕の個人的な想像ですが、漢字もラテン語も20,000年ぐらい??前に数百の基本的な概念から出発してだんだんと複雑に語彙を増やしていったと考えられます。英単語を征服するぞーと鉢巻をして10,000語をランダムに覚えようとしても無謀です。基本的な概念に戻って、その派生していった様子を追いながらグループで関連づけて学習するほうが長く記憶に残ります。

 基本的な概念という視点から漢字の部首と英語の語源(ラテン語)を比較すると面白いことに気がつきます。

 

 漢字の部首は自然界にあるものと体の部分です。

例:木、水、草、月、日、火、土、目、口、人、手、心

 

 漢字に対してラテン語の語源は動作です。(注2)
例:立つ、作る、捕まえる、重ねる、回す、見る、支配する、置く、する、行く。


 カルチャーの違いが出ていると思いませんか。語源の違いからしても、漢字は農耕民族、ラテン語は狩猟民族と言えるかもしれません。

 

 【語源ランキングTOP10】のページではsta-,-sti-,stat, sist-というスペルを持つ単語の語源がランキングの第一位になっています。ではその単語の例を挙げてみましょう。語源はラテン語のstare「立つ」です。

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●assistant「アシスタント」はas-(側に)sist-(立つ)-ant(人)つまり
そばに立って世話をする人のこと。

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●instant 「即座の」はin-(中に、そこに)sta-(立って)-(a)nt(いる)、
つまり部屋の中などで待機して待っている状態です。即座に行動に移れる状態です。
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●station 「駅」はsta-(立つ)-(a)tion(状態、結果)つまり立って待つ

ように決められた場所、「馬車の駅」という意味です。「部署」という
意味もあります。

 


注(1)角川新字源改訂版/角川書店/1994年11月10日改訂版初版
注(2)語源が「動作」を表している動詞でできていることは【語源ランキン
グTOP10】を参考にご覧下さい。
松澤記

 

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