同じ語源でもスペルが違うのはなぜ
agentとaction
agent(エージェント)とact(行為)はともにラテン語agere(為す)が語源ですが、全てがage-のスペルではなくactのように「t」を持つものがあります。
procedureとexceed
exceed, excessはラテン語cedere(行く)から来ていますがexcessにはssが入っています。
今回は役に立つワンポイントとしてtやssがよく使われる理由です。原因はラテン語の過去分詞形のスペルです。ラテン語辞書の動詞には以下のように4つの変化形が表記されています。
agentとaction
ラテン語辞典でagereをひくと見出しに以下の4つの語が書かれています。
ago, agere, egi(現在完了), actum(完了分詞)「為す」
agoは1人称現在形単数形、つまり「私は」が主語のときのスペルです。
procedureとexceed
ラテン語辞典でcedereをひくと以下のように表記してあります。
cedo, cedere, cessi(現在完了), cessum(完了分詞)「行く」
接頭辞ex-をcedereに付けた語も同じ変化をします。
excedo, excedere, excessi, excessum「外に行く、境界を越えてゆく」
完了分詞(英語の過去分詞)形に注目してください。過去分詞には「t」または「ss」が現れます。
このように英単語に「t」や「ss」が含まれている場合は、元になるラテン語が過去分詞形なので「なされたこと」というイメージが含まれます。
action(なされた行為)という具合です。
これに対して現在形のスペルはagenda「議題」(これから行うべきこと)というふうに現在のことに関する単語に使用します。
excess「過度」は(行き過ぎてしまったために「過度」という意味)つまり「過度」は結果なので、ラテン語の過去分詞のスペル「ss」を使っています。
現在のことを言う「超過する、勝る」にはexceedとラテン語の現在形のスペルが使われます。
ちなみにexceedはラテン語の現在形では excedereというスペルでした。
今回は同じ語源の英単語でも「t」「ss」を持つものと、持たないものがある理由を説明しました。
宿題の答え
3つの英単語「accessory」「exceed」「precedent」は、ラテン語cedere「行く」の派生語です。
accessoryはac-(の方に)+cess(行った)が元の意味。主人の方に行くので「従者」・付属する従属物の意。
exceedはex-(超えて)+ceed(行く)。
precedentはpre-(先に)+cede(行く)+-ent(ことがら・人)「先例」です。
predecessorは先に行く人、successorは後から来る人のイメージです。
松澤記