語源による単語のイメージの作り方
「語源で英単語のイメージをつかむには初心者には慣れ・訓練が必要なようですが、何かコツがあるのですか?」という質問がよくあります。以下の3単語でイメージをつかむ練習をしましょう。
divert(向きを変える、気晴らしをする)を旧SPACEALCの語源辞典では以下のように書いてありました。
『divert そらす、気を紛らす(横をむくから)
[語源] di-=dis-(離れて)+L.vertere(変える、向く)
これが語源!の欄にはvert-, vort-, vers-, vors-
L.vertere = to turn(回る、変える、向く)』とありました。
Merriam-Websterの記述です。
Middle English, from Medieval French & Latin; Medieval French divertir, from Latin divertere to turn in opposite directions, from dis- + vertere to turn
つまり、「反対方向を向く」です。
DIVERSIONは名詞形です。
語源は動作をイメージすることがコツです。「身体の動作」をまずイメージします。それでだめなら「心」そして「物」の動作を考えます。
語源vertereの英語訳が=to turnとありますね、まず身体の向きをぐるっと変えるイメージで始めましょう。接頭辞 di- の意味は =dis-とあるので辞書でdis- をひいてください。接頭辞は動作の方向を表します。dis- は「動詞につけて反対の動作を表す」とあります。
「向かない」とイメージすると無理があるのでdis- 「分離」の意味が使われているのかもしれないな、と見当をつけるには慣れが必要かもしれませんね。身体に当てはめると正面ではなく横または斜めを向くイメージです。
ここまで見当をつけたら、辞書の意味をすべて当てはめてみます。研究社新英和中辞典では「①転換する・迂回する②(資金など)転用する③(注意を)そらす④人の気を晴らさせる」とあります。
①②は物の方向をまっすぐではなくて横に向けること③④は人の気持ちの方向を横または反対方向に向けることとイメージできるでしょうか?
身体の向きでイメージ作りを始めますが、物や心の向きをdi- (=dis-)別の方に向けるイメージだったのでした。ここまできたら divert は物や心の向きを変える動作をイメージして脳の vert の引き出しにしまっておきましょう。
ニュー・ヴィクトリー・アンカーにはdivertは①(注意など)をそらす②人を楽しませる、とだけあります。心の向きをそらす意味を代表してとらえていますね。まだ納得できなければ英英辞典 Merriam Websterの語源の説明には to turn in opposite directions (反対方向を向く)とあり、di-+vertのイメージが明快でしょ。
同様にconversationは旧SPACEALCの「語源辞典」では交わり、会話、談話、(行き来する) → 話し合う [語源] con-(共に)+L.vertere(向く)+tion = 共に向き合う。
universityは大学(いくつかの学部が一つにまとまっている)
[語源] uni-(一つに)+L.versus(回る、向く)=教授と学生の共同体とあります。
ご自分の辞書をひいて、このイメージでそこに書いてあるそれぞれの訳語に当てはめてください。イメージを身につける練習のコツがつかめれば幸いです。
宿題: admit, permit, submitの語源は何でしょうか?
答えは次の第12話にあります。
松澤記