熟語(やさしい単語)と語源(接頭辞+語根)
英単語には大別して2種類あります。1つは古英語に由来する基礎的な単語で、日常会話でよく使われます。もう1つはラテン語を由来とする単語で、主に書き言葉に使われます。これは、同じ意味の単語が複数存在することを意味します。
下の表は左が英語look「見る」の熟語です。lookに前置詞・副詞を付けることで具体的な動作を表せます。
真中の欄はラテン語のspectare「見る」の派生語です。接頭辞が前置詞の役割をしているので左の英語の熟語とほぼ同じ意味を表しています。
熟語の2語を組み合わせる方法と接頭辞を組み合わせる別々の方法を考えついた人類の工夫はすごいと思いませんか! 右の欄は現代の英単語です。
英語の熟語 | ラテン語 | 派生英語 |
---|---|---|
look at | aspicere | aspect |
look around | circumspicere | circumspect |
look back | respicere | respect |
look down | despicere | despise |
look for | prospicere | prospect |
look in | inspicere | inspect |
look out | exspectare | expect |
look through | perspicere | perspective |
look up | suspicere | suspect |
look atは「…の方向を見る」という動作です。ラテン語の接頭辞の「a-」も「…の方向を」という意味で、英語aspect(見地)はこの動作を基にしています。
look aroundのaroundとラテン語接頭辞circum-は「…の周りを」という意味です。「周りを見る」という意味から、circumspect(用心深い)が派生しました。
downとde-は「下に」なのでlook downもdespicereも「下を見る、見下す」です。
forもpro-も「…を求めて」、つまりlook for(探す)です。prospect(見通し、見込み)が派生語です。
backとre-は(振り返って)の意です。振り返って見るからrespect(尊敬する)。
look in(中をのぞく)からinspect(検査する、視察する)。
look out(外を見る、用心する)からはexpect(期待する:ex-「外を」の意)。
look through(通してみる、ひととおり調べる)からperspective(見方、遠近法、per-ひととおり)。
look up(下から上を見る)からsuspect(うすうす気付く、怪しいとにらむ、sus-下から)がそれぞれ派生しています。
このラテン語が英語に入ってきた時にはすでに熟語があったために、熟語と派生語で、意味が少し変わっていることがあります。
日本語の動詞の性質は熟語よりもラテン語に近い感覚があるようで、日本人の英作文にはラテン語系の語が多用されます。ところが英語のマスターの近道は熟語をたくさん使いこなすことにあります。
特に会話では、熟語をたくさん使いこなすことを心がけてください!
松澤記