語源の広場

『英語耳』松澤喜好、『日本語と英語をつなぐ』すずきひろし、『Gogengo!』角掛拓未が送る、英語の語源をさまざまな切り口でお伝えするコンテンツです。

黄金の語根

29 avi-, augu 「鳥、鳥占い、前兆」L.avis, Laugur

(14語) L.avis 「鳥」、とL.augur「 鳥占い師、前兆を占う」はイメージがつながっているので、一緒に扱います。古代ローマには鳥占い師L.augurがいて、鳥の飛び方から吉日を占いました。大統領の就任式のinaugurationは、in-(~に対して)+augur(前兆占い…

30 ball(1), ball(2)「ボール・玉」「舞踏・バレー」O.E. bolla, LLballare(=dance)

(27語)ballの由来には、「玉、ボール」と「バレー、舞踏、ダンス」の2つの語源があります。このページでは一緒に扱います。 ball(1)「玉、ボール」の語源は古ノルド語ON.bollr(鉢、まるいものが原義) -> L.bulla 泡、丸いふくらみ ball(2)「舞踏、バレー…

31 bar 「横木」仏語.barre (俗ラテン語barra)

(17語) barは棒のバーです。語源は俗ラテン語barra -> 仏語barre 「横木」と言われています。 棒、横木のイメージから「金属の棒」、横に伸びたカウンターのイメージから「(飲食の)バー」、法廷の裁判官と、被告、検察を隔てるための横木の柵から、「法廷…

32 bat 「打つ、たたく」 (L.battuere)

(30語) bat はラテン語L.battuere「打つ、たたく」が語源です。ローマ時代の戦闘では剣や棒でたたくシーンが多く、「たたく」から戦闘(battle)の意味ができました。 野球のバット bat はボールを打つ棒状のものです。 相手を打ち負かそうとするディベート (d…

33 base「基礎、土台」GK.L.basis

(15語) baseはラテン語L.basis「(建築)台座、礎石、基礎」が語源です。basic「基礎的な」も同語源です。 base(2)「品質の落ちた」の語源は、仏語 bas/basse (背などが)低い、(価値が)低い、L.bassus 背の低い(?)とも言われています。baseness「卑劣さ…

34 bell, beau 「美しい」 L.bellus

(11語)beautiful「美しい」はL.bellusが語源です。L.bellus -> 古仏 bealte 中英語 beauteの流れの様です。 英語のbeautifulは、仏語では、男性形がbeau、女性形がbelleという不規則な形容詞になっているので、苦労した方が多いと思います。beauとbelleがつ…

35 bene「良い」L.bene, L.melior, L.optimus

(32語) 英語のgoodの比較級は不規則変化をします。Good, better, bestですね。ラテン語のgoodも不規則変化をします。 ラテン語の副詞は、L.bene良く、> L.meliusより良く、> L.optime最もよく ラテン語の形容詞は、L.bonus=good, L.melior=better, L.optimus…

36 Bible, book 「本」Gk.biblio

(20語) Bibleの語源はギリシャ語のGk.biblia(=books 本)です。 英語のbookの語源は古英語のbeech「ブナの木」です。書物はブナの木の皮に書いたからです。 出現頻度: 高い 日本の中学生が学ぶ英単語が多いです。 単語 接頭辞 意味 語源解説 book 本 ◇beech(…

37 bio-「命、生命」Gk.bio

(25語)bioバイオはギリシャ語のGk.bio「生命、命」が語源です 。 biology「生物学」はギリシャ語のbio-生命と -logy 学問で出来ています。 「自叙伝」 autobiographyは Gk.auto-「自身の「」+bio-「人生の」+graphy「記録」に分解できます。biography「伝記…

38 brief, brev-「短い」 L.brevis

(12語)「短い」の英語はshortですが、ラテン語由来の英語では briefです。その語源はL.brevis「短い」が仏語を経てbriefになりました。 abbreviate「省略する」は、たとえばPersonal Computerのabbreviation「省略形」がPCと綴るような場合に言います。語源…

39 cad, cid, cas「落ちる」 (L.cadere)

(34語)ラテン語L.cadere「落ちる」 が語源です。L.cadereの完了形cecidiが入り、accident, incident, coincidenceなどの単語があります。 「落ちる」ものは、物の場合もありますが、それよりも「ちょうどよい機会・タイミング」などが落ちてくるイメージが…

40 cise, cide 「切る」 (L.caedere/cecidi)

(36語) ラテン語L.caedere/cecidi「切る」 「正確な」 precise は端をpre切りciseそろえるので、1ミリも違わずに正確なのです。 decide「決定する」は、de(離して)+cide(切る)に分解できます。どこで切るのかを決定して、切ったのです。 cideはいろいろな人…

41 cande, candl「白熱、輝く」L.candere

(18語) candle「ろうそく」、はラテン語L.candere「白く輝く」が語源です。 関連する主なラテン語には、L.candela ろうそく、 L.candidatus 白衣を着た、L.candescere 輝き始める、L.candere 輝く、白く輝く;の4語が有ります。 選挙の「立候補者」candidat…

42 cant-, chant「歌、歌う」L.cantare

(19語) cant-, chant-はL.canere, L.cantare「歌う」が語源です。 のだめカンタービレのcantabile「(流れるように)歌うような」はL.cantare「歌う」が語源です。 フランス語の「歌」はシャンソンchanson、イタリア語の「歌」はカンツォーネcanzoneです。英…

43 capi, chief 「頭」 (L.caput)

(39語) ラテン語L.caput 「頭」が語源です。キャベツ cabbage も頭の型のイメージです。チーフ chiefはL.caput 「頭」がフランス語に入ったときに綴りが変わり、その綴りが英語に入ってきました。 真っ逆さまに落とす様子を、precipitateと言います。断崖か…

44 carn-「肉、肉体」L.caro/carnis

(17語) カーニバル carnivalは祭りのイメージですね。宗教的には、Lent(四旬節=肉食を断つ)の前に肉(L.carnis)をたらふく食べる祝祭で3日間だそうです。 reincarnation「生まれ変わり、輪廻転生」は案外と良く出会う単語です。人が死んだ後で、魂が何かに…

45 car 「車」 (L.carrus)

(28語) car「車」はラテン語L.carrus(馬車)が語源です。現代ではcarと言えばエンジンが付いている自動車のことですが、ローマ時代はくるまと言えば馬車のことです。 大きな四輪の馬車は、carriageです。現代では汽車の客車→電車の車両のことを言います。二…

46 card-, cart-「カード、紙」L.charta, 仏語carte カード

(14語) カルテ、カード、カルタに共通するのは「紙」です。L.charta パピルス紙、手紙 L.chartula小さな紙、書きつけ 現代の仏語 carte カード。伊語 carta カード 出現頻度: 高い 日本の中学生が学ぶ英単語が多いです。 単語 接頭辞 意味 語源解説 card カ…

47 cata-「完全に、大異変の」 Gk.kata- LL.cata-

(17語) カタログ、目録 (catalog/catalogueとも綴る)のcata-はギリシャ語のkata「広範囲の、完全な」が語源です。 ◇Gk.kata ->cata(=完全に)+legein(=数える、選ぶ) カタログと「大災害」catastropheはcata-「完全な、大規模な」で意味がつながっていま…

48 caus-, cuse「原因、理由

(13語) ラテン語のL.causaは英語のcause 「原因、理由」と同じ意味ですが、さらにL.causaには「責任、口実、目的、訴訟、状況、症状、主義、主題」などなど広い範囲の意味が有ります。なので、L.causaは意外な単語に使われています。 accuseの語源のラテン語…

49 cave, crypt 「洞穴ほらあな」L.cavea, Gk.L.crypta

(23語) 洞穴に関する語を取り上げます。英語ではcaveはラテン語L.cavea「ほら穴」 から来ています。またL.cavum/ cavus「ほら穴,、穴、へこみ」という語があります。 洞穴のイメージではギリシャ語由来のGk. L.crypta「地下の通路、穴蔵、下水道」もありま…

50 cell, cover「覆う、かくす」L.celare

(28語) cell「細胞」の語源はL.celare「隠す」です。cover「覆う(おおう)」とは綴りが違っていますが、その語源L.operireの意味は「隠す」とイメージがつながっています。 discover「発見する」はdis-(not)+cover から、覆わない -> 覆いを外す -> 発見す…

51 cent「100 百」L.centum

(13語) ラテン語の100は L.centumです。米国の1ドルは100セント(cent)です。このcentは100分の1の意味です。1ドルの100分の1が 1 cent なのです。 100分の1メートルが centimeter「センチメートル」 100分の1グラムが centigram 「センチグラム」 温度の摂氏…

52 centre「中心、センター」Gk.kentron

(19)語 英語のcenter「中心、センター」はギリシャ語の Gk.kentron「円の中心点」が語源です。 イギリス英語では、仏語と同じcentreと綴ります。アメリカはcenterですね。 このページの表題もイギリスのcentreにしました。合成語の多くが centr-の綴りだから…

53 cert, cern, cret 「ふるいにかける、識別する」 (L.cernere)

(67語) ラテン語L.cernere(crevi//cretum)「ふるいにかける、見分ける、決定する」が語源です。形容詞はL.certus 決心した、確定された」 ふるいにかけることは、使える土とごみの小石を分けて分離することです。このことから「識別する、見分ける、見分けて…

54 chrom-「色、色彩」 Gk.khroma

(12語) モノクロ写真は白黒写真ですね。monochromeの語源はmono(単一の)+Gk.khroma(色)です。 色と言えばcolorですが、ギリシャ語由来のchromeは技術的な色彩が高い、出現頻度は低い語です。 出現頻度: やや低い 日本の学生が大学受験を目指す頃に学ぶ英…

55 chrono「時間」Gk.khronos

(12語) Gk.kronikos「時間の」「長期の」 Gk.khronos「時間」 病気の「慢性」 ◇Gk.khromos「時間」は本来病気とは関係がありませんでした。 「年代記」 chronicleは語源のギリシャ語Gk.kronikos「時間の」「長期の」と言う意味から来ています。 シンクロナ…

56 cite, cita 「ゆり動かす、駆り立てる」 (L.ciere, L.ciare)

(27語) cite はラテン語L.ciere 動かす、揺り動かす、駆り立てる、助けをもとめて呼ぶが語源です。またL.citare「呼ぶ、駆り立てる」も元は一緒で繋がっています。 代表的な単語は excite「興奮させる」です。心を揺り動かして刺激して、内にあるエネルギー…

57 circu, cycl 「回る、円」(L.circus, Gk.kyklos)

(38語) circuはラテン語 L.circus「円、円形」、L.circum「(副)周囲に」が語源です。「サイクル、一巡、周期」 cycle の語源はギリシャ語のGk.kyklos(円)までさかのぼります。 出現頻度: とても高い 日本の中学生や高校一、二年生が学ぶ英単語が多いです。…

58 city, civic「市民」L.civis

(15語) city、citizenの綴りは、L.civis=市民がフランス語を経て civi-> citi に変化した。Citizen「国民、市民」からはフランス革命を経て民主的になった市民のイメージがある。 王が支配していた時代の国民・市民は subjectと呼ぶ。 ◇次のラテン語の多くが…